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原子炉ができるまで

設置を主導するのは基本的に電力会社です。完全に一から立地するには20年近い時間を要する場合もあります。

立地地区 火力発電所や原子力発電所は炉で作った蒸気を、海水で冷やすことでモーターのプロペラを回し、発電を行っています。したがって、立地計画は海か大きな川の周辺に立てられます。

日本は地震が多い国であるため、岩盤の上にのみ原発を立地しています。

設置許可申請 日本の法律では原子炉の設置は法律で禁止されています。計画書や設計案を提出し、安全審査を受け、許可を受ける必要があります。

当然ながら規正法がなければ個人でも立地が可能ですし、法律といえども外国には通用しません。

住民の意見 電力会社と住民の間で、対話を持つことが法律で義務付けられています。話し合いは二回で目的が異なります。

1.立地計画の時点での環境調査を扱う質疑応答。

2.立地計画の時点での設計の原子炉特有の問題を扱った質疑応答。

工事 現場では土木工から溶接工と、多くの職人が働きます。職人の仕事を早くする工夫が、ときに設計外の改造となってしまう可能性があります。原子炉はたくさんの部品から作り挙げられるため、最初のちょっとした気配りが、かえって何工程も後の作業を遅らせてしまう場合もあります。

このため最近では設計者(設計会社)の意図通りのものを作るために、部品は各メーカーの工場で可能な限り組み立てられます。

建設過程はロープ一本一本までシュミレーションされるようになってきました。より安く、安全、確実な建設が目指されています。

超小型原子炉の研究では持ち込み、持ち帰りの出来る原子炉なども考案されています。

運用試験 核反応を一度起こすと放射能汚染されてしまうため、システムが正常に動くか、核物質を入れない状態で試験を行います。特に高温高圧を用いるPWRと呼ばれる原子炉では原子炉以外を稼動時と同じ状態にして試験を行います。

核物質なしで正常に動くことが分かると、つぎはいよいよ燃料をいれて試験をします。つぎは「核反応は起きているけど、熱は出さない。」(=他の機能は動いてなくてもよい)という、ゼロ出力試験を行います。

原子炉というと、なにかと理論どおりにいくのかという議論になります。しかし結局は現場で「全部試験している」というのが現実です。これは原子力以外のプラントも同様です。

運用 原発外部の電力によって、タービンやポンプを動かし、毎秒50Hzでタービンが安定して動く状態にしたところで、初めて核反応を開始します。
まず核反応は原子炉に火がともった状態、臨界にします。制御棒を引き抜き、同時に徐熱量を同時に上げることで段階的に原子炉出力が定格まで上げられます。

原子炉はひとえに原理で語れるものではありません。電力会社は営利企業として経済性を考えねばなりません。原子力という国際社会でも注目を受ける大きな課題には政府の許認可や規制は重要です。作るとなれば土木建築技術の世界です。地元住民の同意も必要です。ここには書ききれないほどの多くの人材と物と資金が投入されていることは言うまでもありません。

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http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/bun_0202.html


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